辰巳渚さん 明日館講座 第5回
辰巳渚さんの公開講座「いごこちのいい暮らしづくり」(全6回/自由学園明日館http://www.jiyu.jp)。
第5回は、暑さが少しやわらだいだ8月23日に行われました。
スタート地点に思いを馳せて
毎週土曜日に行われるこの講座、実は隣室のホールで毎回、結婚式が行われています。授業が中盤にさしかかると、窓の外に人垣ができて、ウェディング姿のカップルが登場するので一旦中断。教室からひそかに拍手を送るのが恒例です。
真夏なので、今日はさすがに結婚式はなし?と思いきや、かりあげヘアにハートマークを染めぬいた花婿さんが登場。教室はしばし沸き立ちました。
思えばシンプルに、必要最低限のもので……と始めたはずの二人の家庭。気がつくと、なんと莫大なモノが家の中に降り積もっていることか…。そんなことも考えさせられる一幕です。
すっきり暮らす実践報告
今日は今まで発表の機会のなかった方5人が、わが家の取り組みについて報告しました。
Kさん=ふだん開けない納戸が開いて大喜びの子どもたちと、大整理。フリーマーケットに出すものの段ボール箱が何個も!
Sさん=実家の建て替えのため、「生ゴミ以外はぜんぶとってある」状態だったお母様と、一週間かけて45リットルの袋80杯の不要品整理に取り組みました。
Mさん=外出の最後につけるアクセサリが家の2階にある矛盾に気づき、衣服の置き場所全体も見直したら、着替えの流れがスムーズになった!
Kさん=前回の授業で書き出した問題点リストを見て、解決方法を3つに分類。
1,捨てる(フタと入れ物が合わないタッパーなど)
2,置かない(シンク脇やリビングのカウンターなど)
3,道具など他の力を借りる(洗濯物をさっとはずせるハンガーなど)
「できないこと、の気づきから生まれた3つが、系統立っていてとてもおもしろいですね」と辰巳さん。講座をきっかけに行動を振り返ることで意識が変わり、暑いさなかも皆さんのお宅の改革がすすんでいることを目の辺りにする発表でした。
捨てられなさの根っこは、室町時代に
発表の後のディスカッションでは、思い出のある子どもの服を人にあげてしまったあとの喪失感や、携帯電話を捨てられない人がとても多いことなどが話題になりました。
そして日本人の「捨てられない」「もったいない」気持ちがどこからくるか、「『捨てる』」文化と日本的物質文明」と題するスライドを見ながら、辰巳さんのお話を伺います。
寺子屋で使った筆を集めて供養する筆供養、筆塚。
どちらも裁縫や習字がうまくなる願いをこめたもの。
人にないがしろにされた古道具に手足が生えて復讐を企てるという付喪神(つくもがみ)。
庶民レベルで道具が普及しはじめた室町時代に創作されたそうです。
(写真は参考です)
このように、物に魂を見いだし、共鳴する感受性をもともともっているのが日本人。日本家屋の畳や障子、着物の繰り回しなど、再生することが組み込まれている。
物が飽和して、均質な物が山ほどある現代、こうしたメンタリティと、今の暮らしを上手に融合させて、気持ちのよいあり方をつくらなくてはならない――。
「すっきりした暮らし」が、誰にとってもなぜこれほど困難か……考えさせられる密度の濃い内容でした。
次回はいよいよ最終回。今までの集大成として5枚のプリントが配られ、自分のうちの物の流れを図解したり、問題点の洗い出しリスト、タイムスケジュール……など、描き込みながら、わが家の「すっきり暮らす」要となるシステムを考えてこよう……というちょっと大きな宿題が課されました。
これができたら卒業試験合格?
好評につき、辰巳さんの次の講座が決まりました!
連続講座第1回は次回で終わりですが、10月から第2回目の連続講座の開催が決まっています。年末年始をまたぎ、新学期の前までに家が片づきそうな日にちですね。ぜひ、ご参加ください!
「 すっきりしたら見えてくるーいごこちのいい暮らしづくり 」
講師 辰巳渚 文筆家・「家事塾」主宰 全6回 12時間
開講日 土曜日[ 10/11、11/22、12/13、1/24、2/28、3/28 ]
時間 10:30~12:30
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